改めまして、今回、「虹のしずく」展覧会にお越しいただいた方々、長橋・鷹巣小学校の「Touch the human fabric」人間巨大織機の交流事業に関わって下さった方々、改めてお礼申し上げます。
今回の企画は展覧会と並行して、学校の交流事業も開催しました。交流事業においては、先生方のご理解とご協力のもと、実現することができ、感謝でいっぱいです。
今回、鷹巣地区で経営されているOhana牧場さんの羊毛からYOKO KAWABATAさんの虹色の織物になるまでのてしごとの旅をテーマにしました。そんな構想になるように描いていた頃、偶然、全国に足を運び、多品種の羊の毛を入手する活動をしていた東京在住の江崎さんに出会い、羊毛の勉強会や洗毛、WSを地元で開催していただきました。普段捨てられている羊毛の解説を聞いたり、専門性のある技術に触れたことは、ここで暮らす豊かさと可能性などを学ぶ貴重な機会になりました。
OHANA牧場さんは子ども達にも親しみがあり、牧場に足を運ぶこともしばしば。ですが、羊毛が糸(素材)になることも知りませんし、糸から生地になり形になるとはどういうことか知らない子がほとんどです。
ものづくりの一連の流れや「希望」や「想い」を持って仕事をされていることなど紹介し、W Sでは虫眼鏡で見た織物とし「人間巨大織機」を実施しました。出来上がったタペストリーははりいしゃでYOKOさんの作品と一緒に展示する運びになりました。
【長橋・鷹巣交流事業】
当日、YOKOさんは演劇で取り入れられている即興ゲーム インプロや人間巨大織り機のリードをしてくれました。生徒の前でプレッシャーもあったかと思いますが、本当に大きなプロジェクトを成功に導くことができました。
4人の寸劇で各々のてしごとを紹介
江崎さんは羊の毛刈りから糸になる部分を丁寧に説明してくださいました。Ohana牧場の藤井さんも来校してくださり、YOKOさんの旦那さんが羊役に。藤井さんは本物のバリカンを持って来てくださり、羊毛を刈ります。手作りの羊毛のマントが剥がれ、バケツで汚い毛から洗毛すると綺麗な毛になること、この羊さんの毛刈りからの洋服になるまでの一連の流れを4人が寸劇で紹介してくれました。
交流事業の羊毛は洗毛を2k×3人で担当。泥落とし、ごみ取り、つけ置き洗い、乾燥、さらにごみ取り、カーディング(絡まった毛並みを整える)、ごみ取りと作業が1週間。天気が良い日を見つけ、排水計画も考慮しながら全部で6k準備。ゴミ袋3袋分くらいになる。




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まずは心を一つに
YOKOさんはかつて、演劇や女優、パフォーマーとして活動していたこともあり、みんなの心を1つにするために、インプロという即興ブレイクゲームをここで実施しました。バスケットボールのバウンドを利用し自己紹介をします。


虫眼鏡で織物の中をのぞいてみよう
体が温まった後、いよいよ本番。「Touch the human fabric」という人間巨大織機がスタートです。
子どもたちは帽子の色でチームに分かれ、赤白交互に上糸、下糸と交互になるよう動き、低学年の子たちは横糸係になり、好きな色糸を選んで縦糸のV字間を通り抜け編んでいく、まさに虫眼鏡で織物の中に入ってもらう!という世界でした。


高学年2年生〜6年生は縦糸を持つ係、流木の糸の付け根のところをキュッキュする係、横糸の折り返しを整える係に別れました。縦糸係はYOKOさんの掛け声、「Red U~P!」「White Down」(帽子の色)に合わせ、上下交互に布糸の位置を変えながら体を使ってガッシャンコ、ガッシャンコ。先生方も加わり、次第に生徒に余裕が生まれ、出来上がりにみんな興味が沸いていきました。
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30分ほど織りをし、完成。後半は羊毛の装飾タイム。


装飾タイムと並行して、半分のチームの生徒たちはクイズに挑戦。


今回布を提供してくださった、株式会社荒井シルクの荒井さんがシルクあてクイズをしてくださいました。様々な生地を机に並べ、カシミヤ、コットン、シルクなど触りながら、天然素材と呼ばれる植物性(麻、コットン、)、動物性(やぎ、羊、絹)の紹介もありました。

完成したタペストリーは彩が綺麗で歓声がわきました。
制作後は展示会場ギャラリーはいいしゃで作品を展示し、来場者方々に「とても興味深い」「これは私も見てみたい」などといったご意見をいただきました。
後日全校生徒から、「もう一度やりたい」「楽しかった」などの感想もあり、子どもたちの心に少しでもワクワクのスイッチが生まれてくれたらと思います。
関係者:
羊毛作家 江崎未来さん(https://www.instagram.com/mikyuuuuuu/)
OHANA 牧場 藤井省三さん(https://auberge-fujii-fermier.com/page06)
荒井株式会社 Arai Silk 荒井章宏さん(https://www.arai-silk.co.jp/)
BEAR KNOT 浅井さん(https://www.instagram.com/stories/bearknot_in_kyoto/)
長橋小学校、鷹巣小学校、日々折々様
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【展覧会】
学校の事業が終わり、すぐに展覧会が始まり、荒天から光が差す天気まで回復し、ここでもたくさんの笑顔に会いました。
江崎さんのWSとYOKOさんの展覧会が隣り併せにあることで、空間に一体感が生まれました。羊毛が毛糸となり、素材として認識されていたかのように思います。

通常、羊毛もゴミのように扱われ、洗毛という工程を経て、糸になることを再認識しました。実際やってみると難しさもあり、知識だけあった記憶と再現したい現実が1つになり感動の瞬間がありました。





会期中、時折、奇跡的に陽の光が差し、吊るしてあったサンキャッチャーによって障子や廊下の奥や天井に屈折した光が虹がかかったようにプリズムとなって現れました。太陽の角度や時間帯によって屈折の仕方が変わり、部屋の障子の裏側にも光が写り、キラキラしていました。

虹色が並ぶ作品に気持ちが高鳴る方もいます。その理由として、YOKOさんの糸の張り方の特徴として、黒意外の糸を使います。一般的に機織りタイプの縦糸は通常4〜11mで1日かかります。その時間を短縮するために既にロールになっている黒の縦糸が流通しています。足元近くにロールの縦糸を取り付けて「そうこう」という部分の穴に通すだけになり、整経の時間がかなり短縮されるため、縦糸が貼るのが大変な方はそのロールを購入する傾向にあります。
ですが、YOKOさんは自分で色から糸を選び、糸の並びやファブリックも選びながら整経していくためとても鮮やかな作品に仕上がります。この縦糸を貼ることもとても重労働で(今回の小型でも30cm×4m幅を貼るのに4時間)こういった事情も知っていただける機会にもなりました。
*整経(せいけい)とは、織物を作る上で経糸(たていと)を必要な長さ・本数・色柄・密度になるように、一定の張力(テンション)で平行に巻き取り、織機にセットできる状態にする重要な準備工程
この展覧会で印象に残ったのは、皆笑顔になって帰ってくださったことです。今回、なくてはならなかったCorisさんとYOKOさんのコラボ、虹色のスイーツプレートがあまりにも素敵でした。メルヘンチックで、1つ1つが自家製の素材やこだわりがあり、贅沢な空間に包まれました。
Corisさんの虹色プレート:淡い水色のしずくのゼリー、抹茶の和フィナンシェ、ラムレーズンバター、シャインマスカットとシャンティ、手折りナポレオンパイ、レアチーズ・おうちブルーベリー・クランブル、旬のみかんとバニラのババロアムース秋の金木犀の香り添え、キャラメルりんごとカスタードのクランブル
彩りがあることで、華やかさも増し、人の心に癒しや元気さをくれるのはスイーツも織りも一緒ですね。

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最後に
「自分に見合う」もの
今回ご紹介するYOKOさんの制作の根底には、「さをり織り」があります。
さをり織り(さおり織り)とは、「差を織る」という言葉に由来する、自分織りのこと。決まったルールや均一さを求めず、「違い」や「自分らしさ」をそのまま織り込んでいく織物。色や素材も自由。偶然性やその時々の感性を大切にしながら、生み出していくことが特徴です。YOKOさん自身も、この織りのコンセプトに深く共感していると話してくれました。
今回のワークショップに参加された方なら、感じたかもしれません。特別に難しいことはしていないのに、自然と手が動き、自分に見合うものを織っていたという感覚。
人間が長い歴史の中で積み重ねてきた営み。本来、洋服や食事は、用意されたサイズやデザイン、メニューに自分を合わせるものではなく、自分にとって必要なものを自分で選び、取り入れ、道具を使って作り上げてきた行為だったとか。
なおこさんが話していた、服を仕立てることや、道具を使う重要性がわかったような気がします。
「何かを生み出す前の、心を耕す時間」
展覧会が終わった後、いつもフォローしてくださっていた小木さんが私にこんな投げかけをしてきました。
「自分を取り戻した時間でしたか。」
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実は企画では「誰でも気軽に織りができる」ということを少し意識していました。小さい子どもでも、忙しい主婦でも、「気軽に」参加できること。
ですが、言葉の本当の意味は、技術のハードルが低いということではなく、「自分の感性に時間を与えること」でした。それは私自身でも気づかない視点でしたがその言葉を言われてハッとしました。
実際WSをやって下さった方々は、確かに「自分の時間」を取り戻したかのような会話だったり、表情をされた方も。誰かのためでも、生産性のためでもなく、自分自身の内側にある創造性と静かに向き合う時間。
そうした創造を思わせるような「何かを生み出す前の、心を耕す時間」が、「さをり織り」を通して自分の心の隙間にひょっこり入ってきたのです。
『ずっとやりたかったことを、やりなさい』
「アーティスト・デートとは、一人で内なるアーティスト(子供心)と過ごす時間のこと。自身の創造的な心を育むために特別に確保される、週二時間ほどの時間のかたまりである」
美術館巡り、新しいカフェ、手仕事、散歩など、好奇心に従って「やりたいこと」を自由に行う活動
小木さんより ジュリア・キャメロン著
個性を織ること。
そして、創造的な心に、そっと時間を手渡すこと。
展覧会では、静かなる「日常」へと導かれた気がしました。
織物作家虹色アーティスト
YOKO KAWABATAさん(https://www.instagram.com/yoko.kawabata11/)
こりすクッキング https://www.instagram.com/stories/coris_riri/
ZENZA 福井洋傘様(https://www.instagram.com/fukui.yougasa/)
協力:
羊毛作家 江崎未来さん(https://www.instagram.com/mikyuuuuuu/)
OHANA 牧場 藤井省三さん(https://auberge-fujii-fermier.com/page06)
BEAR KNOT 浅井さん(https://www.instagram.com/stories/bearknot_in_kyoto/)
よりどりみどり 小木様(https://www.instagram.com/yoridorimidori.hand.weavers/)
この記事を書いた人

福井市出身。結婚を機に越前海岸エリア内鷹巣地区へ移住。
デザイン事務所 mogurimasu を運営し、ビジネスやライフスタイルに応じてデザインされたフライヤー、パンフレット、ロゴ、商品を提案。
隊内ではデザイン担当に留まらず、古民家「はりいしゃ」の改修やレジデンシー事業、会計庶務など、多岐に渡って活躍する努力の人。
2022年には、薪ストーブと焚火を楽しむ会 薪アイアイ を設立。