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セルフリフォームの道

越前海岸に移住して半年、畳の部屋を板張りへ、セルフリフォームしています。福井県産の杉材を使って作業したその様子をお伝えします。

こんにちは。webマスターの伊藤です。本職はプログラマ-だと自負していますが、前職が楽器修理工だったこともあり、木工も好きなんです。

日本人と木の関係は、日本人の最も誇るべき所でしょう。かの有名な宮大工、西岡常一さんの語りで書かれた「法隆寺を支えた木」という本がありますが、世界最古の木造建築は「法隆寺」であり、世界最大の木造建築は「東大寺」であり、共に日本にあることに象徴されます。

そしてこの越前海岸エリアは元々、漁師と大工の町であったようで、僕の借りている家もまた、地元の大工さんが建てたそうな(築30年位だったかと思いますが)立派な日本建築の様式です。

1階は「田の字造り」と言うそうですが、畳の和室が4部屋隣り合っていて、襖を外せばたくさんのお客さんを呼べます。それだけ、法事・冠婚葬祭などで人が集まることが、とても重要なイベントだったということですね。

その「田の字造り」の半面を、畳から板張りへ、セルフリフォームしようと言う訳です。木工房として使うのです。

畳から板張りにするのは、地方へ移住を考えている方々にはよくある話だと思うので、そのやり方を簡単に説明します。とは言え、全ての家が同じような構造になっているのかどうかは分かり兼ねますので、その点はご了承ください。

構造

まず畳を上げます。畳の縁に大き目のマイナスドライバーのようなものを差し込み、グッと引き上げれば、少々重たいですが、簡単に畳が上がります。

すると、その下は既に板張りになっているので、畳の高さに合わせて板を敷き詰めるだけです。

畳の厚さは55mm、60mmと規格になっているそうですが、そこに分厚い板を敷き詰めるのは少々お金がかかります。なので僕の場合は、垂木と呼ばれる約40mm四方の角材を枕木として一定間隔に置き、その上に15mm程の厚みの床となる板を敷くことにしました。

寒さが気になるなら、垂木を並べる前に断熱シートを、床板を張る前に垂木の間に断熱材を入れると良いということで、やってみました。

材料・工具

近所の製材所に相談したところ、8畳と6畳の部屋はそれぞれ約4万円、3万円で材料を揃えることができました。材は全て福井県産の杉です。赤身が多くて、香り高く、木目の荒々しさが美しい良材です。この材の選択が、僕にとってリフォーム後の空間の心地良さの決定的要因となりました。

工具はスライド丸鋸、電動ドリルドライバー、金槌、バールを主に使います。鉋も使えれば、微調整ができるので重宝します。刃の研ぎや台の調整など手入れが難しいですが、現代には替え刃式の鉋もあります。

スライド丸鋸は扱いが少し怖いので、非スライド式の卓上丸鋸でも大丈夫な場合もあります。

垂木の固定にはコーススレッドビスを、床板の固定にはステンレス製のスクリュー釘を使います。8畳+6畳なので、どちらも大量に用意します。

作業工程

木材には、立木の状態から見たときの面の向きがあり、年輪に対して外から中心に向かう面を「柾目」、それと直角に交わる面を「板目」と言います。柾目は木目が真っ直ぐ通りますが、板目は山型(筍型)の木目になるので、見ればすぐ分かります。

そして板目は、立木のとき、外を向いてた面を「木表」、中心を向いていた面を「木裏」と言います。これは木口や反り方を慎重に見れば分かります。

まず垂木を一定間隔で並べて、コーススレッドビスで固定しますが、このとき「木表」が上面に来るようにします。そうしないと、途中で浮いてしまうのですね。

その上に床板を敷き詰めていきますが、このときも同様に「木表」が上面に来るようにします。

敷居が反っている場合もあるので、床板を敷き詰めるときには、バールを使って横にギュッと押して、隙間を無くしてからステンレス製のスクリュー釘を打ちます。この作業を一人で行う場合、バールを垂木に打ち込んでしまうと良いです。

また床板を丸鋸でカットするときは、気持ち長めにカットし、少し中央を反らせてはめ込むのがコツだと、大工さんに教わりました。木は乾燥で縮みますが、長めに切っておけばちょうどよく収まるように馴染んでくれるのだそうです。

床板の最後の1枚を入れるのは工夫が要ります。丸鋸で少し余裕を持って縦に断ち割った後、鉋で時間をかけて微調整してはめ込みましょう。

そんなこんなで僕のリフォームは完了しました。

以前作った4脚の馬(コンパネを乗せるための対の脚組)があるので、取り外し可能な作業台を置くこともできる多用途な空間の出来上がりです。

今回は、越前海岸の「内田製材所」にご協力をいただきました。

本当のところ、床張りは僕の技術というより、製材屋さんの技術によるところが大きいのです。それこそ、木を見て、真っ直ぐに材を挽く技術です。ホームセンターの材ではこのような仕事はできなかったでしょう。

ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。

この記事を書いた人

システム担当 / Qwel Design 伊藤大悟

2019年末頃、東京都町田市からIターンで移住。
Qwel Design (クヴェルデザイン) として、web・システム制作、子どもプログラミング教室等事業を個人で運営。妻は版画ゆうびん舎を運営するおさのなおこ
隊内ではシステム担当で当サイトのwebマスターを担い、熱く実直に組織改善、地域課題にも向き合う。