みなさん初めまして。西山綾加ともうします。
私はご縁あって、8月から2ヶ月間、越前海岸で「暮らすような旅」をさせていただいています。海に山にと、とても豊かな自然。そして、この地域を盛り上げようと様々な取り組みをする越前海岸盛り上げ隊の存在に惹かれ、「何かが起こりそうだぞ!?」という予感を頼りにやってきました。
過疎化の進む越前海岸にとって、地域の今後を占う大きな挑戦となった今回のクラウドファンディング。終わってみれば、当初の目標150万円を大きく上回る296万円(達成率197%!)もの支援を集め、越前海岸の未来に、決して小さくない希望の火を灯しました。
今回のクラウドファンディングはそもそもなぜ行われたのか。そしてプロジェクトを通して越前海岸盛り上げ隊にはどんな収穫があったのか。
盛り上げ隊の隊長・長谷川渡さん、プロジェクト推進を担当した高橋要さん、そして、昨年11月末に越前海岸へ移住した伊藤大悟さんが、クラウドファンディングを振り返るとのことで、私もお話しをうかがってきました。
(参考: クラウドファンディングに挑戦します!)
「救済」ではなく、未来のための「挑戦」の姿勢を示したかった。
伊藤:まずはクラウドファンディング目標達成おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。盛り上げ隊としては初のクラウドファンディングでしたが、挑戦してみていかがでしたか?
長谷川:自分たちの目的がよりはっきりとして、主体的に動けている実感がありました。最初のきっかけは、新型コロナウイルスによる経済損失からの救済支援を目的にクラウドファンディングをやってみてはとアドバイスをもらったのだけど、「それでいいんか?」と、メンバーで方向性から考えられたのもよかった。
高橋:クラウドファンディングの目的はすごく話し合いましたよね。越前海岸にはコロナの影響を受けた事業者が多いので、助けを求めたい気持ちもありました。でも、長い目で見て越前海岸の未来のためになるコトにしたくて。そもそも過疎化の進む地域。”もっと人が来てくれる場所にするため”にご支援いただきたいと。
伊藤:そこから「逆境を追い風に変える、ぼくらの挑戦。」というフレーズが出来たんですよね。
長谷川:そうですね。コロナを経てこれから社会がガラッと変わって、きっと田舎暮らしの良いところがみえてくる。小さな一手かもしれないけれど、次のことを考えて、「はりいしゃ」に力を入れたいと思いました。
「はりいしゃ」とは、越前海岸盛り上げ隊による空き家改修プロジェクトの1つ。もともと鍼灸院を営んでいた場所ということで、「はりいしゃ」と名付けられました。盛り上げ隊では、この「はりいしゃ」を、地域に訪れた人々が滞在できる場所にするべく、2020年4月から整備を進めています。
高橋:僕たちの熱意に共感してくれて、「面白い、行きたい!」と思ってくれたり、越前海岸のファンになってもらえていたら嬉しいです。個人的には、クラウドファンディングの担当を任せてもらったことで、かなりいろんな事業者さんとお話しできて。改めて繋がりを築けました。
長谷川:会議で決める前から、要くんやってくれんか?と連絡して笑
高橋:すごくよかったです(笑)
それぞれの個性が光ったリターンの数々。
伊藤:方向性の次に悩んだのがリターンのセレクトですよね。
高橋:越前海岸の各事業者から、30〜40案くらい集まって。その中から20個セレクトするのが大変でした。種類や価格帯など、バランスをとるのがすごく難しかったです。
長谷川:事業所同士がコラボして商品ができたのがよかったと思っていて。今まで個人的にコラボすることはあっても商品になることはなかったので。組み合わせ方でいろんな魅せ方ができました。
割烹石丸の若旦那が海に潜って収穫してきた越前海岸鮎川産の天然わかめを、WATARIGLASS特製のクラフトボトルに入れるという贅沢なコラボ商品。他にもクラウドファンディングを通して様々なコラボ商品が生まれました。
高橋:それぞれの事業所が新しい商品の魅せ方を獲得するというのもクラウドファンディングの目的の一つでしたよね。
長谷川:今後はふるさと納税とかにもいかせるかも!
伊藤:リターン選別のミーティングの時、「思い切った選択と尖った企画に期待しています」と渡さんがメッセンジャーで投げかけていたことがすごく印象的でした。
長谷川:埋もれたくはないと思っていて。同じことやっても意味ないし。
高橋:確かに。越前海岸には、変わったことができる人がいっぱいいると思うんですよ。個性的な事業者が集まっているから、リターンも個性が見えるものがいいなと。なんなら、もっと個性出せる人もいたと思います(笑)
伊藤:僕は志野くんの農業レクチャーが面白いなと思いました。実際に支援もいただいて。
高橋:志野さんの農業レクチャーは本当に素敵な方が支援してくださいましたね。いただいたメッセージもすごく嬉しかった。このリターンを選んでくれるかは分からないけれど、とりあえず載せてみようという挑戦する姿勢が盛り上げ隊らしくてよかったなと思います。
この農業レクチャーは、福井県内からセカンドライフとして農業を始める方がメッセージ付きでご支援くださいました。
メンバーの知らない一面が見えた隊員メッセージ
伊藤:隊員メッセージ。あれは財産ですよね。隊長、副隊長の出だしがよかったです。あれがあったからみんな「俺も負けずに」と続いていって。
長谷川:そうですね。あんなにみんな書いてくれると思わんかった。どんどん文章のボリュームも増えていったよね(笑)
高橋:それぞれの視点での越前海岸が見えたというか。渡さんとか枩田さんの記事には、盛り上げ隊の歴史が書かれていたり。一方で、別の地域からここへ来て、盛り上げ隊を見つけた人の話とか。いろんな視点からストーリーが出てきてよかったです。
伊藤:意外とメンバー内で知らなかったことが暴露されていたり…。
高橋:小島さん忍者屋敷作りたいんや!とかね(笑)
長谷川:そんなこと考えてたんやと思った(笑)
高橋:あとは、それぞれの越前海岸での原体験を知れたのもよかったです。斉藤さんとか、北井さんの小さい頃の話とかもすごくいいし、泣きそうになる記事とかもあって。
長谷川:自分たちでも読んでいて楽しかったね。
「はりいしゃ」を越前海岸との交流拠点に。
――クラウドファンディングの資金はどのようにいかしていきますか?
長谷川:とりあえず一旦発送やね。発送も何かコンテンツにしていきたいよね。クラファンの活動報告に載せてもいいし。
高橋:支援者さんとは末永く関係を作っていきたいですもんね。もちろん「はりいしゃ」自体をいいものにするのもとても大切です。オープニングパーティーなど、実際に来てくれるリターンもありますし。ある程度ちゃんとした形でお披露目できるといいですよね。
長谷川:オープニングパーティは、内覧会的な形にして、春くらいは完全スタートさせたいね。最初の1年は、どんどん知り合いにも泊まってもらって、試験的になるべくたくさん使っていただきたい。
高橋:人の駅というのは、もともと交流会的な小さなイベントなんですよね。越前海岸の飲食店などに集まって、盛り上げ隊のメンバーと他地域の人々が交流をする場として不定期で開催していたんです。はりいしゃを人の駅の拠点にしようという話もあるので、人の駅のように、「はりいしゃ」を通していろんな人と越前海岸が繋がっていくようなことができたら、一番良い使い方だと思います。そういう1年目にしたいです。
経験を新しい挑戦へ活かす。
――「はりいしゃ」オープンに向けての準備はもちろんですが、今後の活動予定は他にもありますか?
高橋:まずは、今回支援してくださった方としっかり関係を作り、ちゃんと越前海岸を好きになってくれるように、情報や熱量も変わらずに届けていきたいと思います。クラウドファンディングを通して、盛り上げ隊の熱もかなり高まったと思うので、その熱をさらにちゃんと見せていきたいです。
長谷川:さっきまで何かやりたいと思っていたけど、わすれちゃった(笑)
団体の動きだけでなく、個人でも面白そうな動きがあるから、楽しみだよね。田中くんのクラゲ水族館の話とか。
高橋:コアなファンに届きそうな面白いプロジェクトですよね。クラウドファンディングに挑戦することがあれば、盛り上げ隊としても、今回の知見を活かしてサポートしていきたいですね。
おわりに
今回のクラウドファンディングは、越前海岸や盛り上げ隊のことをより多くの人に知ってもらうきっかけとなり、さらには隊員同士の絆をより深めるプロジェクトにもなったようです。
この地域の未来へ熱い志をもち、私のような旅の人をも巻き込んでくれる温かな人々が、まずこの地域の一番の魅力に思います。「はりいしゃ」が完成したら、きっとより多くの人にその素晴らしさを体感してもらえるはず。
まだまだ面白そうな取り組みが潜む越前海岸。今後の活動にも注目です。
この記事に出てきた人
国見地区出身で、一度故郷を離れるも、Uターンして戻ってきた。
WATARIGLASS studio を運営する吹きガラス職人であり、我ら越前海岸盛り上げ隊の隊長。尖った人物の多い隊員達をまとめるだけあって、その眼差しは鋭いが、時にお茶目な一面も見せる。決して口数は多くないが、情熱を内に秘め、過疎化が進む越前海岸エリアの振興に尽力。
山形県出身で、殿下地区の地域おこし協力隊としてIターンで移住した。
越廼地区の美しい景観を作っている越前水仙を栽培・販売する ノカテ を運営する他、多数の地域活動グループで活躍してきた実績を持つ。
隊内では、クラウドファンディングで隊員を牽引し、また都市部から招いたゲスト達との交流事業の多くを担当し、彼の名前通り隊の要となっている一員。
2019年末頃、東京都町田市からIターンで移住。
Qwel Design (クヴェルデザイン) として、web・システム制作、子どもプログラミング教室等事業を個人で運営。妻は版画ゆうびん舎を運営するおさのなおこ。
隊内ではシステム担当で当サイトのwebマスターを担い、熱く実直に組織改善、地域課題にも向き合う。