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鳥や魚はどうして海や大陸を移動するのか②―徳本萌子

「はりいしゃ」併設のギャラリーにて、また新たに2024年のアートプロジェクトが始動します。

第1弾は、滞在が2年振りとなる、木版画家の田中彰さんと、”移動する植物とミシン”をテーマにした美術家の徳本萌子さんのお二人を迎え、再び滞在制作を行っていただきます。

今回の展示会の題名は、「鳥や魚はどうして海や大陸を移動するのか」。深い洞察力で自然を観察し続け、繊細な感性で表現をされるお二人の企画です。

この展示会は、一般的な絵画的鑑賞から一歩踏み出し、鳥や魚が移動することを考えるのは、人が移動することを考えることに繋がるのではないか、という二人の作家からの問いかけです。移動する鳥や魚の作品たちから、私たちはどんなメッセージを受け取るのでしょうか。

「鳥や魚はどうして海や大陸を移動するのか」作品展

  • 会期: 2024年8月17日(土) – 2024年8月25日(日)のうち、木~日曜日(月~水は休廊)
  • 時間: 13:00 – 19:00
  • 会場: 越前海岸盛り上げ隊交流施設「はりいしゃ」(福井市蒲生町1-42)
  • ワークショップお申込みフォームはこちら

徳本萌子

神奈川県出身。茨城県在住。2023年3月に東京藝術大学大学院を修了。”移動する植物とミシン”をテーマに制作活動を展開。国内外のアーティストレジデンスにミシンとともに移動し、滞在制作やワークショップをすることで、リサーチベースの活動とインスタレーション作品の発表を行っている。

メッセージ

滞在制作では現地の植物の葉を、ミシンで縫い込み、出会った人々との、ミシン越しの対話を記録。本来であれば土に還るはずの植物の葉を「残す」ために縫うことで、時間や人々との関係性を記録を超え記憶する作品制作を試みています。

最近では、ミシンとともに移動する自身の制作スタイルと重ね合わせ、「渡り鳥」をテーマにした作品を制作しています。地方で生活していると、人にとっては辺鄙な場所でも、渡り鳥にとっては重要なハブ空港、大都会であるような場面に出会います。そして、鳥を観察していると、その共生関係により植物のこともより深く知ることができます。人の生活を中心とした地図と、渡り鳥の目線の地図では、私達の暮らす世界が全く異なるものに見えてくるのではないか。そのようなことを考えながら、制作を行っています。

また、ミシンや葉っぱなど身近なものを組み合わせて作品とすることで、例えば足元の落ち葉、電線の鳥など、鑑賞者が出会う日常のささやかな風景が、私の作品や展示を通して、昨日よりほんの少し違ったものになることを目指して制作しています。今回の越前海岸での滞在では、普段、観察できない日本海側の渡り鳥との出会いが、新たな作品制作に繋がれば良いなと考えています。海も山も近い、越前海岸の美しい風景から採取した、その土地の植物を使った新作も期間中に加える予定です。

略歴

1993年神奈川県出身
2015年武蔵野美術大学テキスタイル専攻卒業
2023年東京芸術大学大学院先端芸術表現専攻修了

主な実績

2017年THE FIRST SOUVENIR (ギャラリールヴァン・東京)
2019年地図柄の星 The Charting Planets (ギャラリールヴァン・東京)
2019年TURN in Habana (ハバナビエンナーレ・キューバ)
2018-20年大子アーティスト・イン・レジデンス (大子町・茨城)
2019年飛鳥アートヴィレッジ (明日香村・奈良)
2021-22年ミシンカーと夜の鉢植え (水戸芸術館現代美術センター・茨城)
2022年越前海岸 AIR (はりいしゃ・福井)
2022年Haihatus Artist Residency (ヨウツァ・フィンランド)
2023年粟島AIR (粟島芸術家村・香川)
2023年植物とあるく展 (練馬区立美術館・東京)
2023年いつもこころにみずうみを (5月の庭・水戸)
2023年Bird Calling One Day (ねじまき雲・東京)
2024年私たちは鳥だったかもしれないし、葉っぱだったかもしれない
(笠間GARAGE・茨城)

越前海岸盛り上げ隊との関連記事

ワークショップのご案内

「コーヒー焙煎ワークショップ」

コーヒー豆を焙煎します。豆を選んだり香りを楽しみながら、リラックスしましょう。

  • 日時: 8月17日(土), 18日(日) 14:00 – 16:00
  • 参加費: 1,500円
  • 定員: 各日5名・要予約(人数が空いている場合は当日参加も可)
  • ワークショップお申込みフォームはこちら

「野鳥図鑑×ミシンカフェ」

作品となる野鳥たちが海上を渡るかのようにはりしゃに登場。当日は徳本氏の真骨頂であるミシンを使い、越前海岸の植物を縫う、まるで鳥羽を紡ぐような世界観を体験できます。自身で焙煎したコーヒーの香りと共に、野鳥の世界にあなたを誘います。

  • 日時: 8月22日(木), 23日(金) 13:00 – 17:00
  • 参加費: 1,500円 ※お土産ドリップパック付き
  • 申込不要
  • 詳細は当日の会場にて「カフェメニュー」をご覧ください。

「読書会~『電柱鳥類学』(三上修著)を読む」

一冊の本を複数人で分担して、短時間で読みたい本を読む、全く新しい読書を試みます。発表・共有化、気づきを深めます。

  • 日時: 8月24日(土) 14:00 – 16:00
  • 参加費: 500円 ※コーヒー付き
  • 定員: 各日5名・要予約(人数が空いている場合は当日参加も可)
  • ワークショップお申込みフォームはこちら

越前海岸盛り上げ隊交流施設「はりいしゃ」について

福井市蒲生町1-42 古民家「はりいしゃ」
国道305号線から山側の旧道へ入り、「枩田商店」の隣の隣。
駐車場は越廼消防署脇をご利用ください。

この記事を書いた人

版画ゆうびん舎 おさのなおこ

2019年末頃、東京都町田市からIターンで移住。
版画ゆうびん舎を運営し、版画作品、版画を使った日用品・デザイン等を制作し、地域に開かれた版画教室を主催。2019年~2022年は、越廼・国見地区の地域おこし協力隊に就任し、ガラス作家で隊長の長谷川らと共に、古民家「はりいしゃ」でアート関連事業を数多く手掛ける。

当企画は、(公財)福井県文化振興事業団のアートプロジェクト支援事業による助成を受けています。